「とるにたらないものもの」に学ぶ 小さな欲望こそ大切に
感性が独特で、言葉のセンスがとてもいい人、
江國さんの本を読むといつも素敵な言葉に
出会えます。
今回の本は
とるにたらないけれど、
かけがえのないものについて書かれた
ショートエッセイ。
緑いろの信号、輪ゴム、タバコ、ヨーグルト、
固ゆで玉子・・・日常の中のささやかだけど
愛すべきものたちを江國さんの言葉で
語るとこうなるんだなぁ、
視点も言葉も「おっ!」の連続^^
「とるにたらないものもの」
著者 :江國香織
出版社:集英社
内容も素敵なんですけど、
本の作りがとても可愛くてツボです。
ページを開けると黄色い薄紙、
そこから透けて見える本のタイトルと挿絵、
ワクワクします。
版画:細谷正之
文字:ささめやゆき
装幀:水木奏
目次の文字もかわいくて
眺めているだけでほっこりする本^^
版画、文字、装幀全てがベストマッチ!
この雰囲気があるからより素敵に。
私が好きになるのはこんな本なんだなと
気づきました。
わざわざとりあげるほどのこともない
日常にあふれるものたち、
そんな身近なものが愛おしくなるエッセイ。
鋭い観察眼、分析力と豊かな表現力、
江國さんの魅力が爆発です。
もちろん私の日常とは違うので
「わかる!」って感じではないけど
「この気持ち、私にもあるなぁ」と
私のとるにたらないものものを書きたく
なりました。
「メンソレータムとオロナイン」
「黄色」
「フレンチトースト」
同じ素材で別ストーリーが私にもあるわ。
別素材で同じ気持ちになるものなら
さらにたくさん。愛しさ、哀しさが
詰まっている「ものもの」たち、
人の数だけとるにたらないものものは
あるんだと思います。
亡くなった祖母と父のこと、
思い出すのはとるにたらない
日常の一コマが多いなぁ・・・
とるにたらないものって
日々当たり前だと思っているから
その価値に気づかないだけで、
実はかけがえのないもの、
大切な時間だっりするんだなぁ。
日々のほっこりや小さな喜び、
心地よさを感じる小さ欲望、
そんなちっぽけなものものが
私の人生ではかけがえのないものもの。
とるにたらないものたちこそ
大切にしていこう。
